フォトニュース |
|
|
|
|
|
内臓疾患で複合からジャンプに転向した一戸
|
|
内臓疾患を克服したスキー・ジャンプの選手が、24、25日に札幌で開かれるワールドカップ(W杯)出場権をつかんだ。一戸剛。滋賀県近江八幡市の印刷会社「アインズ」スキー競技部に所属する27歳。遅咲きのジャンパーが世界に挑む。
もともとは複合の選手。全日本Bチームで、W杯の1ランク下、W杯Bを転戦し最高2位にも入った。だが、2001年夏、体に異常が現れた。診断は原因不明の「潰瘍(かいよう)性大腸炎」。病気と戦いながらの試合に一戸は、「貧血のような感じで、とても距離を戦えるような状態ではなかった」と振り返る。
「複合を続けることは不可能。転向しないならスキーを辞めるしかなかった」と成田収平・アインズ監督。スキーを続ける道は一つだけ。一戸は「自分はそういう人生なんだ」とジャンプ転向を決意した。駄目なら1年で引退という気持ちで臨んだ昨季、2勝を挙げた。悪天候でともに1回で打ち切りになったとはいえ、「やれると感じて、会社に続けさせてもらえるようお願いした」と本格的にジャンプに打ち込み始めた。
複合でもジャンプの成績は上位に食い込む実力があった。今季は、ジャンプの全日本Cチームにも選ばれた。成田監督は「今はまだ、いい悪いの波が大きい」と課題を指摘する。
9日からの札幌ジャンプ4連戦では、W杯遠征組の葛西紀明(土屋ホーム)らが加わった中、2、3日目にともに5位に入り、3日目には129メートルの大ジャンプも見せた。一戸は「W杯ではポイントをとれるよう、やれるだけやります」と、ジャンプ全日本メンバーとして臨むW杯を心待ちにする。
(2004/1/19/14:54 読売新聞 無断転載禁止)