潰瘍性大腸炎患者の進学・就職
潰瘍性大腸炎患者の学生生活
UCは発症年齢が若いので中学高校生の患者も多いです。入退院で欠席が多かったり、体育が骨粗鬆症などでできなかったり、何かと不都合があるので学校や担任の先生の協力が必要不可欠です。年度始めに担任と、入退院や欠席による単位や試験の救済や代替が可能か等の話をしておく方が良いでしょう。
■小学校
患者が小学生などの場合は、トイレに行くのが言いにくかったり、一般の児童と同じトイレが使いにくかったりする(からかわれる)事もあったりするので、そういった話もしておく必要があります。(教職員用トイレを使っても良いように話をしておいた人もいます)また、給食などがあって、例えば牛乳を飲むと下痢をする等といった場合も担任に話をしておくと良いでしょうね。
もしステロイドを大量に使わないといけない場合は骨粗鬆症や発育障害にも気を付けておきましょう。成長期だけに影響が強く出ることがあり、最悪の場合は大腸全摘手術をする必要があります手術は小学生でも受けれますし、術後もJポーチ(大腸を取った代りに小腸で直腸を作る)が成長に合わせて大きくなって行くので大丈夫です。ただやはり、慣れた病院でないと執刀経験が無いかもしれませんので要注意です。
■中学校
小学生などと違って便状態をチェックしたりするワケにもいきませんし、下血していても黙っていたりするので、家族にすれば年齢的に扱い難い時期だとは思いますが、体調や精神状態の管理に気を配りましょう。また、高校の受験勉強で再燃したりすることも多いので注意が必要です。特に冬場の「風邪」→「再燃」→「受験失敗」の最悪パターンには気を付けましょう。(市販の風邪薬によっては潰瘍性大腸炎を増悪させたりステロイドと飲み合わせできない物もあるので必ず医師に診断してもらいましょう。葛根湯は比較的安全だとされていて処方する内科医も多いです。)
■高校
十代後半になると病勢が強くなって来たりするので出席日数に気を付けましょう、入院で留年するUC患者もたまに居ます。
僕の個人的な意見なんですが、高校時代の友達は一生付き合う友達が一番できる時期だと思うので、せめて文化部でかまいませんからクラブに入る事をお薦めします。入退院がおおくて友達ができ難く、家族にだけ内弁慶な子になる可能性もありますから。(入院中に結構そういうUC患者に合いました。37歳独身男、友達も女性経験も社会人経験も無し、だけどお母さんには偉そう命令。なんてことになったらなかなかツライです。)
高校3年生になるまでには、自分の体調をよく考えながら将来の進路(進学・就職・公務員試験)を決めておく方が良いでしょう。就職する場合は進路指導の先生と一度よく話をしてください。「面接を受けるにあたって病気の事を言うか言わないか」を相談しておく必要があります。申告すれば通らない可能性がありますが、黙って就職した場合に会社の人事から高校の進路指導室にクレームが来る可能性もあります。(最悪、以降その会社からの求人が高校に来なくなる場合があります)病気持ちでも受かれそうな会社を探してもらうか、黙って受けて揉めたとしても進路指導は何も聞いていなかった事にしてもうか…。まぁ進路指導の担当の先生は生徒第一に考えてくれるので、親身に相談に乗ってくれると思うので「就職差別されるかもしれないから先生には黙っておこう」とは考えなくて良いと思います。
■大学
文系大学であれば必修科目の外国語・体育・ゼミさえ出ていれば、あとは試験前に友達からノートのコピーを集めれば何とかなります。理系は履修した科目の教授とよく話して、入院による欠席がレポート提出でなんとかならないかお願いしてください。
大学一二年でなるべく単位を稼いでおきましょう。体調が良いからと言って遊んでいる暇は無いと思う方がいいでしょうね。緩解期は少しでも安定した仕事につける様に、「優」を増やしたり資格を取ったりして就職準備を頑張ってください。
また、あまり入退院が多いようならオペを受ける最後の大きなチャンスでもあります。大学生の長い夏休みや三年次前半を使ってオペをすれば、何も無かったかのように就職する事も可能です。
潰瘍性大腸炎患者の就職
UCは一生治らない病気なので、それを見越した進路を考える必要があります。公務員や大手企業に入れた場合は比較的楽なんですが、中小企業などはなかなか仕事が休めなかったり、ひどい所になると病気理由で解雇される会社も結構あります。なるべく体を使う仕事はさけて、デスクワークを選ぶ方が良いのは明白です。また、将来的にクビになったり転職や自営をせざるえない状況も考えて、何かしら資格やスキルが身につく職業を選ぶ方が良いでしょう。スキルがあれば派遣社員や自営独立という手もあります。
■公務員
もっとも理想的な就職先です。国家公務員と地方公務員があり、国家の場合は2-5年ごとに全国に転勤があります。僕は国家3種で京大事務に受かったのですが僻地に飛ばされるのが嫌で辞退しました。今思うと勿体ないですね。民間企業に比べれば休みを取り易いですし、病気理由による解雇もほとんどありません。ただやはり昨今の倍率は非常に高いので(10〜40倍以上)、専門的な受験勉強や情報収集をかなりやらないと合格は難しく、公務員予備校や塾に入る方がよいでしょう。
■大手企業
もちろん会社にもよりますが、まともな労働組合があったり、休みがちゃんと取れたりします。良い会社なら体調によっては配置換えしてくれたりします。しかし良い大学を出ていないとなかなか難しいです。企業HPのエントリーページなどでも記入した大学名でいきなりリンクページが違ったりする所があったり。(有名大→受付ページ、それ以外→ただいま募集定員を超えていますページ)
■医療関係
経営陣の反応は会社によって分かれる所だとは思いますが、職場自体は病気に理解がある人が多い傾向があるようです。楽では無い仕事ですがナースや医師をやっているUC患者も結構います。薬剤師・臨床検査技師・歯科技工士・医療事務などは、給料が良かったり、スキルが身について転職しやすかったりするので狙い目です(専門の大学などに行く必要があります)。なお、製薬会社の営業職などは非常に大変なので個人的にはお薦めしません。
■パソコン関連
取り合えずエクセル・ワードはどこの会社の事務でも使います。マイクロソフト公認の資格を持ってると履歴書には書けます。デザイン系の仕事になるとWindowsよりもマックを使う場合が多いです。SE・プログラマにしろデザインやHP制作にしろスキルが必要なので、専門の学校を出ているのはもちろん、それなりの技術を身につけている事が大事です。一応は頭脳労働なんですが業種によっては肉体労働ばりに大変だったりします。ある程度経験が積めれば派遣社員でいけたり、パソコン教室のインストラクターなどの口もあります。
■長期内勤ゆうめいと
アルバイトなのに社会保険や有給休暇やボーナス(安いけど)があったりします。職場的には非常に楽だったりします。(反対に変な人が多くて困る事があるかも)ゆうめいとの募集はこちらのHPで簡単に調べられます全国郵便局アルバイト情報
■市役所などの嘱託職員
期間限定のワークシェアリングや非常勤職員も結構募集していたりします。自分の住んでる市のHPを見てみましょう、大体は募集ページがあります。
面接時に言うべきか、言わざるべきか
これは非常に難しい問題です。病気を差し引いても余り有る才能や実績があれば悩む必要は無いんですが…。
「病気持ちです」と言えば落とされる可能性が非常に高くなりますが、黙っていた場合も採用されたその後が問題です。「会社にバレるのではないか」とビクビクしながら、病院に満足に通えず、元気な振りをして仕事をするハメになり兼ねません。言うべきか、言わざるべきか、どっちが良いのかは一概に言えません。自分の症状の重さ(入院間隔)や受ける会社の雰囲気を鑑み、最後は自分の信条で決めるしかありません。
一応、このHPで過去に集計したアンケート結果です。参考にしてみてください。
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僕は、入院経験が無い人や過去3年以上入院していない軽症の人は言わなくて良いんじゃないかと思います。反対に言わないとダメなのは毎年入院している人。その間の人はどっちが良いかはケースバイケースでしょうね。
あと、もし仮に病気を黙って入社したとしても、期を見計らって上司や同僚には打ち明けて行く方がよいでしょうね。何かと手助けをしてくれるかもしれません。また上司の方も、入院するギリギリまで黙っていられるよりも、早めに言われる方が休みや仕事の調整がつけ易いというものです。
新入社員
新入社員一年目に、環境の変化やストレスがもとで再燃するケースは多いです。入社一年目ではなかなか休みが取れず、病院に行く暇が無いまま悪化して、入院するはめになる事もあるので、体調管理は重要です。また、病気悪化で一・二年で退職してしまった場合、例え体調が元に戻っても、「経験がない」「社会人として何か問題があるのではないか」などと再就職が非常に難しいので、そうならない様に注意しましょう。