東京読売夕刊 2001年1月11日
難病認定にコンピュター、基準を厳格運用
◆治療費公費負担を抑制 厚労省来年度から
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厚生労働省は十一日までに、難病治療の公費負担の増加に歯止めをかけるため、来年度から、難病の認定作業にコンピューターによる一次判定を導入することを決めた。
都道府県により認定の実態に差があることを問題視、審査を国の基準に沿って厳格化させる狙いだが、継続認定を認められない患者が出ることも予想され、患者団体には戸惑いと反発も広がっている。
国と地方自治体は、パーキンソン病など四十五の病気を特定疾患治療研究事業に指定、治療費を公費負担している。
難病の治療費は高額になりがちなためで、今年度の国の負担額は二百二十億円。制度ができた一九七二年度は三億円だった。患者数も昨年度は四十三万五千人にのぼった。
費用を抑えるため同省は、九八年度から症状の重くない患者に一部自己負担制を導入、対応を検討してきた。
注目したのが認定システム。専門医などで構成する各都道府県の審査会が主治医の診断書から判断しているが、基準は全国共通なのに居住する都道府県が変わると認定を受けられないなどの格差があった。同省は、患者数の増加などで、きめ細かい審査が困難になったことが背景にあるとし、コンピューターによる絞り込みが必要と判断した。
新方式は、患者の症状など決まった項目を、同省のコンピューターに入力、「確実」「ほぼ確実」「疑い」「データエラー」の四種類を判定する。「疑い」の場合だけ審査会が検討する。「確実」「ほぼ確実」は原則、自動的に認定する。
これにより来年度の負担額を約十九億円(約8%)減らせると予想している。
これに対し、患者団体からは、「患者切り捨てが目的ではないのか」(全国パーキンソン病友の会)、「難病は症状が良くなっても決して治るわけではない。突然、自己負担と言われても対応できない」(全国難病団体連絡協議会)など、不信の声も出ている。 |
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