朝日新聞朝刊 2002年8月26日
胃腸のかいよう、骨髄細胞が修復 難病治療に期待
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胃や腸が炎症やかいようを起こすと細胞を修復するために骨髄細胞が使われる−−。東京医科歯科大学の渡辺守教授(消化器内科)らの研究グループが26日付のネイチャーメディシン(オンライン版)にこんな内容の論文を掲載する。白血病の治療で行われる骨髄移植がかいよう性大腸炎など難病治療にも役立つと研究グループはみている。
胃や腸などの表面にある細胞(上皮細胞)は通常、消化管にある幹細胞からつくられる。研究グループが白血病で骨髄移植を受けた女性の予後チェックのために上皮細胞を調べたところ、性染色体はXYで男性のものだった。骨髄の提供者が男性だったことから、骨髄細胞から上皮細胞がつくられたことがわかった。
さらに、移植の副作用で胃腸でかいようができている患者の上皮細胞を調べたところ、提供者の骨髄細胞からつくられた上皮細胞が通常より50〜100倍増えていることもわかった。同グループは上皮細胞が壊れると骨髄細胞が修復に動き出すと結論づけている。
渡辺教授は「かいよう性大腸炎やベーチェット病、クローン病などの難病に、骨髄移植が使える可能性がある」と話している。
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