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茨城県にお住まいののM・Mさんの大病は18年前突然の血便から始ったといいます。
ウチの母にオシリから血が出てるって言ったら「痔じゃないの?」って話だったんで、あぁ痔なんだ、と。
水の便みたいになってきちゃって、起き上がることも出来ないし、食べられなくなっちゃって、それで、ほんとこのままどうにかなっちゃうんじゃないかと思うくらいになっちゃって。 |
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M・Kさんも8年前、血便から異変が始まりました。
最初は痔かなという感じを受けてたんですよね、受診したら潰瘍性大腸炎であろうと。
二人の病名は潰瘍性大腸炎。
それは大腸の粘膜に炎症が起きる病気で、大腸の粘膜に潰瘍やびらんができます。 |
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潰瘍性大腸炎は原因不明で、若に人に多い。治療法が非常に難しい病気である。何らかの原因で大腸の粘膜を自分自身で攻撃して炎症を起す難病だと考えられています。
潰瘍性大腸炎は元来欧米に多い病気で、アメリカでは既に患者数は200万人を越えています。しかし日本でも最近急増を始め、およそ5万人に昇ると言われています。 |
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潰瘍性大腸炎は10代から20代の若い人に多いのが特徴で、遺伝・食生活・腸内細菌などが関与した免疫の異常が原因と考えられています。
最初のうちは軽い下痢とか粘血便というのが少量ある場合があり、コレが進んできますと下血が多くなり、全身の免疫機能の低下が起こって来たり、10年以上経過した症例では大腸癌の発生が高くなると言われています。 |
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軽症の場合、薬で炎症をコントロールできますが、重症の場合や大出血など緊急を要する場合は大腸を摘出する手術を受ける必要があります。
潰瘍性大腸炎は炎症が大腸全体に起こってくる病気なので大腸を取ってしまえば潰瘍性大腸炎というのは無くりますので、完全に病気を無くすことができます。 |
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大腸を全適しても、小腸の一部を直腸の代わりにする事によって、日常生活も肛門での自然排便も可能です。
コチラの女性は大腸摘出手術を受けてからすでに3年半が経っています。
手術前より手術後の方がホントに体も気持ちも楽になったので、私は受けて良かったと思っています。 |
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下痢と言うと誰でも経験のある事だと思いますが、今若い人たちを中心に増えている潰瘍性大腸炎は、下痢や血便を繰り返すと言う原因不明の難病です。重症化すると大腸を摘出するという手術を行わなければなりませんが、一度手術に踏み切ると快適な生活が戻ってくるといいます。 |
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今日の「からだ元気科」はただいま急増中の潰瘍性大腸炎の手術を中心に治療最前線に迫ります。 |
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仙台市にある東北大学医学部付属病院、コチラの胃腸外科の佐々木巌先生は厚生省の難治性炎症性腸管障害調査研究班のメンバーであり潰瘍性大腸炎の外科的治療のオーソリティです。
潰瘍性大腸炎は普通の大腸炎とどう違うのですか?
この潰瘍性大腸炎は原因不明の大腸炎でありまして、若い人に多くて、しかも難治性であるのが特徴です。 |
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この潰瘍性大腸炎、放っておくとどうなってしまうんでしょうか?
最初のうちは軽い下痢とか粘血便が少量ある場合がありますが、コレが進んでいきますと下血が多くなりまして、そうしますと全身の免疫機能の低下が起こって来たり、大腸自身が穴があくとか、10年以上経過した症例では大腸癌の発生が高くなるということが言われています。 |
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潰瘍性大腸炎は、まず潰瘍が直腸に発生して、そこからさかのぼるようにして炎症が広がり、やがて大腸全体に拡大します。
直腸炎型から左側大腸炎型、全大腸炎型と進行するにつれ重症化します。 |
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大腸粘膜になぜ炎症が発生するのか、その原因はまだ解明されていませんが、遺伝体質や欧米型の食生活などの環境因子・腸内細菌などが複合的に関与し、大腸の免疫機構が異常をきたす事によると考えられています。 |
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そのため白血球が大腸の粘膜組織を攻撃するようになり、潰瘍ができます。 |
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診断はどのように行うんでしょうか?
診断はまずですね、患者さんの症状を詳しくお聞きしまして、そして次には内視鏡検査というものが行われます。内視鏡検査の場合には同時に生検といいまして、その組織の一部を取ってきて顕微鏡で検査する組織診断も加えて行う事があります。さらに場合によっては注腸造影と言いましてオシリから造影剤を大腸に注入してレントゲン的に検査する。また鑑別診断としては他の感染性の病気、つまり赤痢とかアメーバとか、そういった特異的な腸炎を否定する為に、便の培養とか検鏡とかゆうような事も行います。 |
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仙台市にお住まいのM・Kさんは8年前突然、下痢と血便が毎日続くようになりました。
私も良く解らないってのが事実なんですけど、最初は「痔かな?」という感じを受けてたんですよね、それで町の開業医の肛門科にいって調べて頂いたら「どうも違う」っていうことで、それで大学病院を紹介されて受診したら潰瘍性大腸炎であろうという風に聞いたんですけどね。 |
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M・Kさんの大腸は内視鏡検査で、本来なら明るいピンク色で血管が透けて見えるはずの大腸粘膜が、赤くただれて血管は見えず、さらに白い膿と粘液が入り混じった部分も映し出されていました。 |
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注腸バリウム造影検査でも、正常ならふっくらとクビレの見える大腸が、細く直線のように映っています。 |
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血液検査では、白血球の増加によって炎症が起こり、赤血球が減って貧血が進行していることが確かめられました。
排便の回数・内視鏡・エックス線・血液検査などを総合して、M・Kさんは中等度の潰瘍性大腸炎と診断されたのです。 |
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それでは潰瘍性大腸炎の治療はどのように行われるのでしょうか?
潰瘍性大腸炎の治療は原則として内科的治療が主であります、内科治療の内容は薬物療法が主でありまして。
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治療の基本の薬物療法に使われるのは炎症を抑える副腎皮質ホルモンとサラゾピリンや5-ASA製剤などです。
M・Kさんは薬物療法のみで治療を続けています。8年前入院してステロイド強力静注療法を受けた結果症状が改善、それからは社気復帰もでき定期的に通院しています。一時ムーンフェイスと呼ばれる症状をていしましたが、現在は医師の指導により服用量をコントロールしているので副作用は有りません。また今はステロイド剤を肛門から入れる注腸ホルモン療法を受けているお陰で炎症を抑えることが出来ています。 |
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仕事しにくいとかそういうような所は何か有るでしょうか?
今はほとんどそれは無くなりましたね、一時ちょっと便の回数が増えた時には、やっぱりちょっと仕事に支障がきたすかなという程度のものが有ったんですけど、今は注腸ができてからは、それでコントロール出来るようになりましたね。 |
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手術をしなければいけないのは、どのような場合でしょうか?
手術の適応ということで難治性の場合、例えば10ヶ月の間に1回以上入院が必要な症例とか。ステロイドこれは非常に副作用も多い薬剤でありまして、そういった副作用が生じたような場合。それから10年以上経過した症例では大腸癌の発生が高くなるということが言われております。
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さらに、命に関わる緊急な場合や大量出血がある場合は手術に踏み切ります。
潰瘍性大腸炎は炎症が大腸全体に起こってくる病気なので大腸を取ってしまえば潰瘍性大腸炎というのは無くりますので、完全に病気を無くすことができます。 |
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Aさんも手術によって重症の潰瘍性大腸炎から生還できた一人です。
下痢が一日に20回くらいでトイレに行かないといけない感じで、「出産のためかなぁ」と思っていたんですけど、やっぱりちょっとおかしいなと思って病院に行ったんですね。 |
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Aさんは二度目の出産あと、腹痛と下痢を繰り返すようになり、1日20回も下血を見ました。潰瘍性大腸炎という診断を受けて間もなく症状が急激に悪化し東北大学病院に緊急入院しました。大腸粘膜ははがれ膿がたまる状態で、放っておくと命に関わるという診断で緊急手術を受ける事になったのです。 |
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潰瘍性大腸炎の手術はどのように行われるのですか?
潰瘍性大腸炎の場合は大腸全体に病気が発生してくる可能性がある病気ですので、大腸一部を残した場合にはそこに炎症が再燃してくる場合がありますので大腸全部を取るというのが原則になります。大腸全部取った後に小腸と肛門を吻合するということが行われます。 |
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この場合に肛門近くの所に小腸に便がたまる袋を造りまして、人工肛門を一時的に作ると。一時的に便を人工肛門から出して、吻合がしっかり完成したときに人工肛門を閉鎖して、最終的には小腸から肛門に便が排出されるということで自然肛門を温存する術式が現在標準的に行われています。 |
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潰瘍性大腸炎は炎症の有る部分だけを摘出しても、残った大腸から炎症が再燃するので、大腸全てを摘出し、小腸の一部を代用する方法が取られています。
一般的に手術は2回から3回に分けられますが、まず大腸は全て取り--- |
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---そのとき直腸は粘膜だけを取り、--- |
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---肛門括約筋は残します。 |
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これは自然肛門の機能を温存する為の、直腸の粘膜のみをはがす重要な作業をしている所です。 |
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そして人工肛門を付けところで第1期は終了します。
この時点から潰瘍性大腸炎からは開放されます。 |
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第2期の手術では自然の肛門機能を復活させます。
手術の手順は人工肛門を取り去った後で直腸の代わりに小腸の一部の回腸部分で袋を作り肛門と吻合します |
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それによって肛門からの自然排便ができるようになります。 |
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出産直後に入退院を繰りかえし3回渡る手術を受けたAさん、子育ても続けながらの闘病生活で、潰瘍性大腸炎を見事克服しました。
3回目の手術が終わった後はどんな変化がありましたか?
トイレに今まで行ってなかったので、お腹の方から出てたので、忘れてて、不思議な事にトイレで用をするって感覚を忘れてて、すごくなんかびっくりして。手術前より手術後の方がホント体も気持ちも楽になったので私は受けて良かったです。 |
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排便はもう普通に出来るようになったんですか?
そうですね、私は普通のつもりなんですけど、でも1日にやっぱり5回くらいはします。
どうして大腸が無いのに普通に排便ができるのでしょうか?
大腸が取られた後は小腸がその大腸の機能を代償する機構が働きます。 |
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大腸は本来水分の90%を吸収します。
大腸を摘出すると水分を吸収できずに体は脱水状態に陥ります。
すると体内で抗脱水ホルモンが分泌されます。
その一つアルドステロンは小腸の細胞の核に作用します。 |
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それによって水分や電解質をより多く取り込む能力のある粘膜細胞に変質させるのです。 |
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大腸を全部取って回腸を肛門に吻合する手術は症例によって、腹腔鏡手術ということであまり大きいキズではなくて、お腹に数本の管を入れて手術をするということも出来る様に成って来ております。我々の所では20例ぐらい症例を行っており全部うまく行っております。
最近は病状によって腹腔鏡手術も適応されます。
これによって患者の精神的肉体的負担が軽減され手術の後も小さく、何よりの朗報です。 |
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M・Mさんは18歳の時発病して以来18年間薬物療法を続けてきました。発病から10年を越えると手術が妥当とされるので、手術をすべきかどうか随分悩みが続いたといいます。
最初の入院は絶食を2ヶ月して4ヶ月間入院して、退院したんですけど、退院したと言ってもただ家に戻ってきたってだけで、動けるわけでもないし、体だるくてしょうがないんで。退院から丁度1年目にまた今度は違う病院に入院して…そういうのを何回か繰り返して行くうちに、こんないつ死んじゃうんだか解らないんだったら好きな事好きなようにやろうと思って、薬の副作用で振るえて鉛筆持つのも大変だったんですけど漫画とか書くの好きだったので、又始めたりして… |
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その漫画が縁でファンの男性と知り合い、めでたく結婚、二人の子供もできました。今は肛門からのステロイド注腸療法を続けて体調は安定しています。
アレができない、コレができないと思っちゃうと、マイナスに考えちゃうと、やっぱり気持ちもマイナスになって逆に病気も悪くなっちゃうんで、「私は病気だけどコレができたよ」っていうふうに考えていった方が良いんじゃないかと思います。
M・Mさんは同じ難病で悩む人々を励ますために体験談を本にしました。 |
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どういう治療法を採用するにしろ大切なのは病気と向き合う患者自身の強い気持ちだと先生はおっしゃいます。
いわゆるインフォームドコンセントというものを行った上で患者さんと一緒に手術適応を決めるということにしております。
普通に暮らしていても下痢の症状が続いていたり、下血も心配されてる方もいらっしゃると思いますが、そういう方はやはり病気を疑った方が良いんでしょうか? |
元気科MEMO
血便が出たら
迷わず専門医へ
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通常の場合は便通異常というのは非常に多くの健常の方にも見られる症状で下痢なども時にはあると思いますが、コレが長く続いたり、あるいは自分でそういう要因が無いのに起きてきた場合、血が混じる場合はできるだけ早く専門の病院にいって相談される方が良いと思います。 |